コバヤシ リユウジ
  小林 隆司
   所属   兵庫医科大学  リハビリテーション学部 作業療法学科
   職種   教授
研究期間 2003~2005
研究課題 痴呆性高齢者のセルフケア及びコミュニケーション能力を高める看護プログラムの開発
実施形態 科学研究費補助金
研究委託元等の名称 日本学術振興会
研究種目名 基盤研究(C)
科研費研究課題番号 15592311
キーワード 食事行動, 言語誘導, 残存能力, 看護, 言語の手がかり, 認知症高齢者, ADL, 認知レベル, HDS-R, FIM, 触覚誘導, 単純化, 介入, 痴呆症高齢者, 視覚の手がかり, 視覚誘導, 環境整備, セルフケア, 触覚の手がかり, NMスケール
代表分担区分 研究分担者
代表者 別所 遊子
概要 1.研究目的 認知症高齢者の残存している機能を生かしたADLとコミュニケーション能力を高める看護ケアプログラムの開発を目指して研究を行った結果、以下の成果と課題が得られた。 2.対象と方法 対象は、介護老人保健施設に入所している認知症高齢者で、調査方法は施設職員からの聴き取り、研究者の参加観察等であった。 3.研究成果 ・1年目は、認知症高齢者のADLの中でとくに複数の動作の順序性や巧緻性が要求される入浴、整容、更衣などが自立して行えなくなり、そこに適切な看護介護援助があれば、残存している動作能力を生かして日常生活動作を維持することが可能であることが示唆された。 ・2年目は、ADLの中で生活の質に大きな影響を与える食事動作に着目して、自立を維持する効果的な看護介護援助の方法を調査した。その結果、援助の手がかりとして、「環境整備」、「言語的手がかり」、「視覚的手がかり」、「触覚的手がかり」に分類し、それぞれの具体的な方法を整理した。環境整備は、他のすべての手がかりの前提としてあり、知覚刺激(手がかり)は、認知の滞りを補い、行動を促すために効果的であった。これらの手がかりは他の生活動作に応用できる可能性が高い。 ・3年目は、前年の研究成果に基づいて、看護介護者が自立維持を目指した食事援助が行えるように、食事動作の過程に沿ったアセスメント項目と援助のマトリックス表(試案)を作成し、実際に使用して妥当性を検討した。その結果により、作成した修正版は、施設職員の研修あるいは手引きとして使用できる可能性がある。 4.今後の課題 本研究を通じて、認知症高齢者の効果的なコミュニケーションを促すためには、介護者の丁寧な観察と、できることの見守り(見極め)が重要であること、言語のみでなく、見ること、触れることの重要性が示唆されたが、具体的なプログラム作成には至らなかった。これについては今後の課題である。