キタナカ ジュンイチ
  北中 純一
   所属   兵庫医科大学  薬学部 医療薬学科
   職種   准教授
発表年月日 2022/12/03
発表テーマ 頭部ガンマ線照射マウスに対するオキシトシン投与はリン酸化CREBの減少を介してKCC2 mRNA発現の増加をもたらす
会議名 第96回日本薬理学会年会/JPW2022
主催者 日本薬理学会
学会区分 全国学会
発表形式 口頭(一般)
単独共同区分 共同
国名 日本
開催地名 横浜
開催期間 2022/11/30~2022/12/03
発表者・共同発表者 五十嵐健人、田中康一、北中純一、北中順惠、西山信好、富田和男、佐藤友昭
概要 【背景と目的】頭部ガンマ線照射は脳腫瘍に対する有効な治療の一つである。これまで我々はガンマ線照射したマウスに対するオキシトシンの経鼻投与が新奇物体認識能の低下を防護すること、またこのとき塩化物イオンのトランスポーターであるKCC2 のmRNA発現が上昇することを見出している(Igarashi et al., BBRC, 2022)。しかしながらオキシトシンがどのようにKCC2の発現上昇に関わるのか不明である。
【方法】3週齢の雄性C57BL6/Jマウスを60Co線源に4分間暴露し、1.5Gyのガンマ線を照射した。照射は1日1回行い、3日間繰り返した。オキシトシン投与群のマウスには照射後に毎回0.1mM オキシトシン 5μLを経鼻投与した。ガンマ線照射マウス、ガンマ線照射後にオキシトシンを投与したマウスおよびガンマ線非照射マウスより海馬組織を摘出し、ウエスタンブロットによりリン酸化CREBおよびリン酸化ERK1/2量を調べた。
【結果】ガンマ線照射後にオキシトシンを経鼻投与したマウス海馬ではガンマ線非照射マウスと比べてリン酸化CREBが約24%減少していた(p<0.05)。またガンマ線照射後にオキシトシンを経鼻投与したマウスでは非照射と比べてリン酸化CREBが約51%減少しており(p<0.001)、ガンマ線照射マウスと比べても約35%減少していた(p<0.05)。またガンマ線照射後にオキシトシンを経鼻投与したマウス海馬ではガンマ線非照射マウスと比べてリン酸化ERK1/2が約24%増加していたものの、有意ではなかった。
【考察】本研究ではガンマ線照射後にオキシトシンを投与したマウスにおいてリン酸化CREBの減少することを見出した。先行研究において、リン酸化CREBがKCC2 発現の減少に関与するとされている(Rivera et al., J. Neurosci. 2004)。これらのことから、ガンマ線照射後のオキシトシン投与がリン酸化CREBの減少を介してKCC2の発現量増加をもたらす可能性が考えられる。