キタナカ ジュンイチ
  北中 純一
   所属   兵庫医科大学  薬学部 医療薬学科
   職種   准教授
発表年月日 2023/05/27
発表テーマ μオピオイド受容体選択的拮抗薬単独与薬によるマウス動機付け行動への影響
会議名 第16回日本緩和医療薬学会
主催者 日本緩和医療薬学会
学会区分 全国学会
発表形式 ポスター
単独共同区分 共同
国名 日本
開催地名 神戸
開催期間 2023/05/27~2023/05/28
発表者・共同発表者 北中純一、北中順惠、富田和男、五十嵐健人、新井香奈代、竹原薫生子、仲井聖典、濱名貴大、松田健太郎、湯瀬祥、佐藤友昭
概要 【目的】μオピオイド受容体選択的拮抗薬が、オピオイドや覚せい剤などの薬物中毒だけではなく、動機付け行動をも抑制するという仮説を立て、マウスを用いて基礎研究を行った内容を報告する。
【実験方法】ICR雄性マウスの動機付け行動を評価するため、新規環境における水平走行ホイールを適用した。その他、水平方向の一般的運動量、固形飼料の容器への接触頻度、飼料摂食量、摂水量を3日間測定した。これらの測定は、換気扇が付いた防音チャンバー(7:00AM点灯、7:00PM消灯)内で自動計測した。さらに、行動変化を考察するため、新奇物体探索行動、ガラス玉埋め試験を実施した。μオピオイド受容体に作用する選択的拮抗薬としてβフナルトレキサミン(βFNA)を用いた。
【実験結果】(1)無処置マウスにおいて、水平走行ホイールの回転数は3日間の試験で日ごと増加した。この変化はそのまま水平方向の運動量増加と相関したが、固形飼料容器への接触回数とは相関しなかった。(2)5 mg/kgのβFNAを単回与薬したマウスにおいて、試験1日目における運動量が減少し、水平走行ホイールの回転数が減少した。(3)浸透圧ミニポンプを用いた皮下連続投与状態下では、マウスに行動の有意な変化は認められなかった。なお、(4)βFNA単独与薬処置において、新奇物体探索行動、ガラス玉埋め試験で対照群と比較して有意な差を認めなかった。排便量は有意に抑制されており、βFNAの生体への作用は確認された。
【考察】以上の結果より、新規環境におけるβFNAの一過性増加によりマウスの動機付け行動が減少することが認められた。μオピオイド受容体の選択的な一過性遮断が引き起こしていることが推察された。